自宅で簡単にできるスクワット 加齢に伴う筋力の低下は、要介護状態を招きかねない。高齢者が自宅でできる筋力トレーニングについて、筑波技術大(茨城県つくば市)保健科学部の小山真吾助教に教えてもらった。
▽健康寿命を延ばす
「筋力低下によって、転倒してけがや骨折につながったり、病気にかかりやすくなったりする恐れがあります。幾つになっても筋肉量や筋力を保つことは、健康寿命を延ばすためにも大切です」と小山助教。
特に大切な筋肉は、太ももの「大腿(だいたい)四頭筋」、尻の「大臀(だいでん)筋」、背中の「背筋」だ。「歩いたり、立ち上がったりするときに地球の重力にあらがう抗重力筋で、運動に欠かせません。特に高齢者にとって重要で、鍛えておきたい筋肉です」
自宅で簡単、安全にできる筋トレメニューとしてお勧めなのがスクワット。肩幅くらいに足を開いて直立した状態から、膝を曲げて腰を落とし、ゆっくり元に戻る動作を繰り返す。三つの抗重力筋を効率的に鍛えられるという。
「例えば、最初は1セットを10~15回。慣れてくれば20~25回くらいに増やしてもよい。1日1~3セット、できれば決まった時間に行うようにしたい」
▽筋力維持を目的に
高齢者の筋トレの主な目的である筋力維持は、数カ月で効果が表れるものの、「増強」と違って実感しにくいという。「筋肉量を表示する機能を備えた体重計などを活用して、『筋肉が落ちていない』と気付き、筋トレを継続することが大切です」
筋トレは、休む日を挟んだ方が良いとされるが、小山助教は「忘れずに続けることを優先し、一度の運動回数をやや減らしてでも、毎日行ってはどうでしょうか」と助言する。長期的な効果が期待できるという。
持病がある人は、筋トレに取り組む前にかかりつけ医に相談する。筋トレを始めてからも、体調が優れない日には無理をしない。痛みが出た場合や筋肉痛が何日も続くような場合は、トレーニング強度を下げるなどの対応を取ることが重要だ。
(メディカルトリビューン=時事)
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