夏日が増え、熱中症の危険性が高まってきた。早稲田大スポーツ科学学術院の細川由梨准教授は、早めの休憩、散歩や運動で体を徐々に熱さに慣らしていく暑熱順化などを勧める。
子どもは、体温調節の機能が未発達な上、体格も小さいため、外気温の影響を受けるのが大人よりも早いのが特徴。「大人が暑くてしんどいと思ったときには、子どもは顔が真っ赤になっていたり、ふらついていたりすることもある。ベビーカーは涼しそうに見えるが、風通しが悪い上に地面からも熱が反射され熱くなりやすい」と細川准教授は注意を促す。
屋外で活動する際は、早めに涼しい所で休憩する、冷たい物を飲む、体を冷やすといったことが大切だ。「冷感スプレーなどはひんやりして気持ち良いが、皮膚の表面が冷えているだけ。氷やジェル状の保冷グッズを活用するなどして、体内に蓄積された熱を安全に、しっかりと下げましょう」
本格的に暑くなる前から、散歩や早歩き、公園での遊びなどを通して汗をかき、暑熱順化をするとよい。特に梅雨時や学校の部活動が休みの間は、体を動かす機会が減りがちなので、スポーツ飲料などを補給しながら意識的に汗をかくようにする。普段運動をしていない子どもなら、汗ばむ程度でも構わないという。
子どもが楽しく暑熱順化に取り組めるよう、大塚製薬(東京都千代田区)が製作した「なつじたくカレンダー」などを活用するのもよい。同社の公式ホームページからダウンロードできる。今夏やりたいことを子どもがカレンダーに書き込み、夏本番までにどうやって汗をかいたかなどを記録し、家族からコメントをもらう構成になっている。
細川准教授は「最高気温が年々上昇しており、屋外でのスポーツ大会や部活動などを大人が中止する判断も必要。一方で、熱中症が怖いからと言って、外で運動しないのも問題なので、今からできる準備と対策を怠らないでほしい」と助言する。
小さい子どもが暑熱順化に取り組みやすい「なつじたくカレンダー」