【ワシントン、カイロ時事】イスラエルと交戦するイランに対する米国の軍事介入に向けた備えが一段と進み、情勢は緊迫の度合いを増している。トランプ米大統領は18日、核開発を続けるイランについて、交渉の可能性に触れつつも「忍耐は切れた」と述べた。攻撃に踏み切る可能性があると改めて強調し、イランの体制崩壊も「あり得る」と語った。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、イラン攻撃について「やるかもしれないし、やらないかもしれない」と表明。「最終的な決断は実行の直前にする」として、まだ決定していないことも指摘した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、トランプ氏がイランへの攻撃計画を非公式に承認したものの、最終決定を保留したと報じた。軍事介入を示唆してイランに圧力をかけ、核開発放棄を迫る狙いがあるという。
トランプ氏はイランが外交交渉を求めて接触してきたとも明かし、協議に前向きな姿勢を示した。その上で「1週間以内に大きな動きがあるかもしれない」と予告した。これに対し、イランの国連代表部は米国との接触を否定した。
CNNテレビなどによると、米軍は中東近海に派遣している2隻の空母に加え、3隻目の空母「ジェラルド・フォード」を地中海のイスラエル近海に派遣する。米軍はさらに、少なくとも30機の航空機を米国から中東に近い欧州へ移動させたもようだ。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は18日のビデオ演説で、米国の支援に謝意を表した。イスラエル高官は同国メディアに、米国の軍事介入を巡る論点は「いつになるかだ」と強調し、介入自体はほぼ既定路線だという認識を示した。
イスラエルは18日もイランのミサイル製造拠点などに空爆を加えた。報道によると、イランではテレビ放送が電波妨害に遭い、体制を批判する動画が流れた。最高指導者ハメネイ師が君臨する体制の崩壊を促したいイスラエルが関与したとみられる。ハメネイ師は徹底抗戦の意思を示している。