新型コロナウイルスの流行に伴う需要減やイベント中止などで企業の売り上げが落ち込む中、苫小牧市内の食品メーカーがインターネット販売で新たな販路を開拓している。札幌商工会議所の新型コロナ経済対策掲示板「緊急在庫処分SOS!」を活用した取り組みで、事業者には激励メッセージも寄せられている。各社とも売り上げ確保に向けてPRに力を入れる考えだ。
東京や大阪など道外の市場に生ウニや加工品を出荷している水産加工会社、丸恭水産(汐見町)は、飲食店の需要減で4月の売り上げが前年同月に比べ3分の1に減少。このため4月21日から掲示板に自社のインターネットショップ情報を投稿。塩水ウニやまぜご飯などを特別価格で販売している。
同社は15年前にネット販売を開始。コロナ流行前までは週1回程度の注文だったが、掲示板に掲載するとわずか2週間で200件に急増したという。杉原秀明副社長は「ウニなど配送地域が限られる商品もあるが、ぜひ苫小牧の加工会社を知ってもらいたい」と話す。
麺類製造販売の苫食(有明町)は、外出自粛による自宅消費の増加でスーパー向けが増えたものの、苫小牧市や千歳市、伊達市の学校給食向け(週合計2万5000食)の大口出荷が小中学校の臨時休校でストップ。全体の売り上げは3月から下がっているという。
売り上げ確保に向けて4月下旬から同掲示板を活用。わずかな期間で前月実績を大幅に上回ったという。曽賀玄瑞専務は「当面は小売りとインターネット販売を進めたい」と期待を込める。
各地の物産展中止や観光客の落ち込みで影響を受けている菓子製造販売の四季舎(錦岡)も3月中旬から掲示板の利用を始めた。直後の4日間だけで関東圏を中心に注文が急増したという。インターネット販売では、沖縄県などの一部を除き送料を会社負担の特別価格で提供。割安感が好評といい、鈴木花次雄代表は「コロナの影響は大きいが、激励のメッセージも頂いている」と支援の思いに感謝を述べている。