大阪府警が、2019年に府内で確認した「孤独死」の実態を分析したそうだ。死後の経過日数など調査基準がまちまちで大規模な分析はないという。
調査によれば昨1年間に大阪府内で確認された、病院で亡くなるなどの「自然死」ではない1万2309の遺体のうち、誰にもみとられずに、死後2日以上たって発見された独居者は2996人。うち、1カ月以上たって見つかった遺体は382体に上り、71体は今年1月末現在、まだ身元が判明していないそうだ。65歳以上の、いわゆる高齢者が71%を占めているが、40~50歳代の働き盛りも合計18・4%おり、高齢者だけの問題ではない。男女別では男性が2213人を占め女性の3倍近い。
寂しい数字を見ながら、あれこれ考えた。人ごとではない。ほんの少し体が不自由になってみれば入浴や階段の昇降など、室内の怖さはすぐ分かる。健康や、家族の存在を前提にした備えの多くは絵空事。1人の時に倒れれば、手の届かない高さにある電話、充電不足の携帯電話は役に立たない。
「こんにちは赤ちゃん」の梓みちよさんが亡くなっているのをマネジャーが発見した―と先日の報道。76歳。プロ野球の元名捕手で名監督だった野村克也さんは未明に救急車で搬送され急死。84歳。奥さんを亡くした後の、テレビで見た寂しそうな表情を思い出す。どんなふうに助けを求めたのだろう―。想像して、怖くなった。(水)