道内各地で読み聞かせ活動を行う札幌市の松嶋珪子(けいこ)さんが今年7月、苫小牧市表町に、私設文庫「とまこまい宇宙船みみ」をオープンさせた。松嶋さんが所有する国内外の絵本や児童書約4000冊がずらりと並び、ゆったりとした空間で本を楽しむことができる。
松嶋さんの市内での活動は同文庫運営のほか、カフェや図書館での読み聞かせなど多岐にわたる。「みみ先生」の愛称で親しまれる松嶋さんは大の絵本好きで、さまざまな絵本を紹介してくれる。「聞き手が本に集中できるように」とあまり抑揚をつけずに読み聞かせるのが特徴的だ。幼児らに語り掛ける姿には、絵本が好きな松嶋さんの優しさがあふれていた。子どもたちは目を輝かせて指を差したり、自分でページをめくって笑顔を見せ、絵本の世界観を楽しんでいた。
苫小牧信用金庫本店では、絵本に親しみながら交流の輪を広げてもらおう―と、2015年5月から月1度の絵本サロンを開いている。時間内は出入り自由で幼児を連れた母親だけでなく、大人や高齢者も訪れ、絵本を通した交流が繰り広げられる。
サロンは今年6月、通算50回目を迎えた。親子で訪れていた母親が「何度も読み聞かせを体験するうち、娘が自分から絵本を手に取り、座って読むようになった」と話していたのが印象的だった。
市教育委員会では、家庭で絵本を読み聞かせる「家読(うちどく)」を推進中。市内の幼稚園が保護者を対象に開いた家読がテーマの講習会で、松嶋さんは「絵本を読むことで、子どもに想像力や我慢する力が身に付く」と子育てへの積極的な活用法をアドバイスしていた。市内では図書館やコミュニティーセンター、カフェなどさまざまな場所で行われている読み聞かせ。スマートフォンやゲームに目を奪われがちな子どもたちにも、本を読む習慣が身に付けばいいと感じた。
(松原俊介)