▶4 日高の公共交通

  • 特集, 記者ノート2019
  • 2019年12月19日

  JR日高線の約8割を占める鵡川―様似間(116キロ)で、バス転換を前提にJR北海道と日高管内の沿線7町が個別協議に入ることが決まり、大きな転換点を迎えた。2年前から7町や住民団体の会合が開かれるたびに何度も日高方面に出向いて、町長や町民の声を聞いてきた。

   2年前の4月、7町は「JR日高線(鵡川~様似間)沿線地域の公共交通に関する調査・検討協議会」を設置。代替交通手段として、陸路と鉄路を走行するデュアル・モード・ビークル(DMV)、バス高速輸送システム(BRT)の可能性を検討した。

   しかし、多額の費用が掛かるため導入を断念。線区の方向性として▽全線復旧▽鵡川―日高門別間を復旧し、残る区間をバス転換▽全線バス転換―の3案から一つにまとめようとしたが議論は平行線をたどり、最終的に今年11月、多数決で全線バス転換の1案に絞った。

   15年1月の同線区不通後、地域の住民団体も発足し、総合的な交通体系の確立、日高線の復旧を求めてきた。総合的な交通体系の構築を目指す日高の公共交通を考える有志の会はフォーラムの開催やアンケート結果の取りまとめを通じ、継続的な交通網の構築の必要性を訴えてきた。鉄路の維持を求めるJR日高線を守る会は講演会や署名活動、日高町村会長へ公開質問状の送付などを展開した。

   一方で、取材を重ねていて住民団体が開く会合の出席者数が年々少なくなっているのが気になった。日高道が建設され、専ら自動車を利用して移動する現状では、住民の関心が高まりにくいのかもしれない。

   今月20日には都市間バス「高速ひだか号」(日高町―札幌間)が廃止される。人手不足が背景にあるが、日高線のバス転換に一抹の不安を残す。さらなる人口減少が予測される中、日高の公共交通をどう維持するか。現実を踏まえた活発な議論を期待したい。

          (室谷実)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。