道は8日、厚真町幌内の町有林で、胆振東部地震の土砂崩れなどにより約4300ヘクタールにも及んだ森林被害の復旧に向けた実証試験を実施した。林地の崩壊箇所に応じ、効率的な復旧方法を検証する取り組み。業務委託を受けた道立総合研究機構林業試験場の職員が、指定した試験区にカラマツやトドマツなど7樹種を順次植栽し、2021年度までの成長経過を見て対応策を講じる。
これまで道内では、大規模な林地崩壊により山肌が露出した斜面などに、植林や緑化を行った事例がない。実証試験は、排水層を含めた土壌が植物が健全に生育するのに適しているかを「良」「中」「悪」に区分。今回は同町高丘の道有林に「良」「中」、同町幌内の町有林に「悪」とする状態別の試験区(20メートル×35メートル)を設定した。
植栽したのは道内で広く植林されるカラマツやアカエゾマツ、同地域で自生するミズナラなど5樹種と、専用容器で育成された根鉢付き「コンテナ苗」のカラマツ、トドマツの2樹種。各試験区で通常の植栽、バーク(樹皮)堆肥を使用した土壌改良A、さらに発酵堆肥を加えた土壌改良B、コンテナ苗の計4区分を設け、計640本植える。
緑化資材をヘリコプターで運搬し、空中から散布することによって植生回復などを図る航空実播(じっぱん)工法を想定し、緑化剤も斜面にまいた。
この日、「悪」の現場では職員5人が斜面で黙々と作業。硬い土をつるはしで軟化させてくわで斜面に穴を開け、堆肥を混ぜたりしながら植栽した。道職員は「実証試験の成果を踏まえ、森林造成を進めていきたい」と話している。