苫小牧海上保安署は2024年の管轄海域(苫小牧市、厚真町、むかわ町)での海上犯罪取り締まり状況をまとめた。ホッキ貝や秋サケなど密漁が後を絶たず送致件数は前年比36件増の72件と倍増。一方、人身事故は前年と同数の13人、船舶事故は同1隻増の7隻と横ばいだった。
海上犯罪は違法漁具による採捕や漁業権侵害といった密漁に伴う漁業関連法令違反が41件と最多で、全体の5割強を占めた。密漁はナマコやアワビといった高級食材も目立ち、大半が自己消費目的だった。
密漁は漁業法で、最大3年以下の懲役または3000万円以下の罰金を科せられることを周知し、苫小牧署と合同で河川のパトロールも強化していく。
人身事故の内訳は自殺4人、負傷5人、病気2人、海中転落と帰還不能が各1人。毎年のようにサーファーが沖に流される事故が起きており、昨年も10月に真砂町の海岸で発生。無事救助されたが、漁船を含む6隻で海上の捜索に当たる騒ぎとなった。同署の髙﨑繁映次長は沖合に向かう強い流れ「離岸流」の危険性を強く訴え、注意喚起する。
船舶事故は衝突3隻、乗り上げ1隻、火災1隻、運航不能2隻。船種別では貨物船2隻、漁船3隻、遊漁船とフェリーが各1隻だった。
昨年7月には、苫小牧-八戸間を結ぶ川崎近海汽船運航のフェリー「シルバーブリーズ」(8901トン)が苫小牧港・西港で消波ブロックに乗り上げる座礁事故を起こした。乗客乗員140人にけがはなかったが同船は修理などのため約1カ月にわたって運休する事態となった。
なお、海の事件、事故の緊急ダイヤル「118番」は通報内容の9割以上がいたずらや無言電話だった。髙﨑次長は「虚偽の通報は業務の妨げになるので、絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。