1935年創業の久米繊維工業は、50年代半ばに国産Tシャツの先駆けとなる商品を開発しました。Tシャツという言葉すら定着していない時代だったため「色丸首」と名付けました。
一時はラインアップから外れていましたが、2006年に技術の粋を投入して色丸首を復刻。細い糸をより合わせた双糸を用いた生地は、透け感が出過ぎることなく、着る人を選びません。肌触りは優しく、疲れ知らず。定番の黒色や白色のほか、利休茶や濃鼠(こいねず)といった和の色も取り入れています。
私個人の印象を言えば、いい大人にこそ似合う製品です。同社サイトでの販売価格は1万2100円と、Tシャツにしてはお高めです。しかし、単体でまとってもジャケットと合わせても絵になりますし、洗濯を重ねてもそうはへたりません。
同社の久米信行相談役は語ります。「日本のものづくりの真骨頂は、過剰品質にあります」と。そこまでやるかという作り手の姿勢が、存在感を放つ商品を生むのです。
(サイバー大教授(商品企画論)・北村森)
メーカー=久米繊維工業(東京都墨田区)
電話03(3625)4188
色丸首