平成をたどる 苫小牧の30年◇39 第Ⅲ部「改革の行方」⑫ 平成18(2006)年 ネットでいじめ 苫小牧署への相談急増 学校では利用マナー指導

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  • 2025年6月6日
誹謗・中傷の書き込みが問題となった掲示板サイト(平成18年12月14日)

 平成18年、苫小牧署への「インターネットによる中学、高校生の誹謗(ひぼう)・中傷」の相談が急増した。同署は、いじめの温床になり犯罪に結び付くとして、関係機関に指導を要請した。このネット社会の難問は、現代に向けて拡大していく。

 ■誹謗、中傷

 「マジでキモい」「学校に来るな」「くさい」などという中傷が、相手の実名入りでインターネット掲示板に氾濫。発信者は匿名で、中傷された生徒が体調を崩したり、不登校になったりした。苫小牧署は、発信者の特定が可能なこと、悪質な書き込みは犯罪に当たることなどを生徒たちに周知、指導するよう教育委員会や学校に求めたのだった。

 市内のある小学校では、4年生以上が授業でインターネットを利用するため、利用上のマナーを教えた。

 ■技術進歩と普及速度

 インターネットの普及速度は、驚くほど早い。

 ウィンドウズ95が発売されて、インターネット元年といわれたのが平成7(1995)年。間もなく個人のホームページ制作がはやり、同11年には匿名掲示板「2ちゃんねる」が開設された。

 通信環境は従量課金型から、定額料金のかけ放題に、インターネットと電話通話の同時接続ができるADSL(平成11年)へと変わり、さらに業者間競争で高速化・定額低料金・常時接続が進む。

 ネット元年からわずか10年。平成17年前後からは情報の「双方向化」の流れが生まれ、ブログやSNSといったコミュニケーションサービスが次々と登場した。ネット上の誹謗、中傷が増大するのはこの頃からだ。

 ■誰もが簡単に

 わずか10年で、誰もが「簡単に」情報を発信できるようになった。この急激な変化に、これまで不特定多数に対しての情報発信などしたことのない人々が付いていけるのか。特に子どもたちはどうか。誰に何を書き込まれるか分からない不安から、教室や学校の中に不信感が広がった。

 前述の小学校では「自分が書かれて嫌なこと、面と向かって言えないようなことは書き込まない」と指導したものの、「学校での指導は限られている。パソコンに触れる機会が多い家庭での教育も大切」と。この問題はより大きく膨張していった。

 (一耕社・新沼友啓)

 《2006年報道ドキュメント》

 〈7月9日〉市長選で新人の岩倉博文氏(56)が4万3274票を得て当選

 〈7月18日〉苫小牧市の駅前証明取扱所が駅前プラザegao6階にオープン

 〈7月25日〉住居表示整備審議会は沼ノ端南地区の住居表示整備事業について、沼ノ端南町内会エリアを「東開町」とすることを答申。10月4日に地域住民有志が「沼ノ端東開」とする変更請求を市に提出

 〈8月20日〉第88回全国高校野球選手権大会決勝で駒大苫小牧高校が早稲田実業と対戦。延長15回1-1で引き分け。21日に再試合、3-4で敗れ準優勝

 〈9月7日〉天皇、皇后両陛下がウトナイ湖野生鳥獣保護センターを視察

 〈11月23日〉「ZEUSU CITY」(ゼウスシティー)オープン。丸井今井苫小牧店撤退以来1年1月ぶりにショッピングモール開店

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