北海道教育大学で長年教授として教壇に立っていた砂田友治(1916~99)は、生まれ育った苫小牧に広がる原野のイメージを生と死が循環する場所として捉え、その大地の様相を豊かな色彩で作中に表出させた画家です。本展で取り上げた4人は、いずれも全国規模の公募展である独立美術協会で活躍してきた画家ですが、砂田は1965年に苫小牧出身者として初めて独立美術協会会員となり、後輩画家たちの先陣を切ってきました。
画業後期になると、特に「大地と人」「自然と生命」といったテーマに果敢に挑み、その舞台として生まれ故郷の勇払原野のイメージが選ばれました。砂田にとって原野は生命に志向する場であり、造形表現を探求する場であったのだと思われます。
輝くような大地に子どもたちの歌声が響き渡るような本作は、大地とそこに生きる人々がたたえられているかのようです。記号的な人物の形態と水平に伸びる地平線を背景とすることによって、画面の抽象的な表現が強められ、そのことにより生命賛歌に対する象徴性が増し、より輝かしい印象がもたらされているといえるでしょう。
(終わり)
(苫小牧市美術博物館主任学芸員 立石絵梨子)