苫小牧の地域情報を伝えるコミュニティーFM「FMとまこまい」(二瓶竜紀局長)は災害発生時、収録番組の自動放送からスイッチ一つで緊急放送に切り替えることができる「緊急割込システム」の導入を計画している。10月稼働を予定しており、クラウドファンディング(CF)で資金を募る考えだ。
同局は気象情報や交通情報などのニュースを盛り込んだ生番組や、市民パーソナリティーが制作した収録番組を中心に放送。深夜や早朝、土日などは基本的に自主制作や他地域のコミュニティーラジオ局が手掛けた収録番組を自動で放送している。
現行では自動放送中に災害が発生した場合、あらかじめ設定していたプログラムを終了させるためにサーバー上での複雑な操作が必要で、操作ミスによって放送ができなくなるリスクをはらんでいた。
緊急割込システムはスイッチを押すだけで緊急放送に切り替えることができ、市や気象台が発する避難情報などを即座に提供することができる。同局は万が一の備えとして、このシステムの導入を決めた。
このシステムは道内の他のコミュニティー放送局でも積極的に取り入れられており、道総合通信局によると、昨年12月1日時点で道内29局のうち17局が導入済み。これら先行地域では、同システムを使って自治体職員が放送に割り込み、ラジオ電波を通じて住民に避難を呼び掛ける仕組みとしても活用している。
二瓶局長は「将来的には他地域のように行政と連携した動きが取れるよう、まずは自分たちがこのシステムを使えるようにならなければ」と語る。
導入にかかる費用確保と市民の防災への関心を高めること目的に10日から、CF専用サイト「READYFOR」でCFを実施。目標額は150万円。二瓶局長は「(CFの)開始前から問い合わせが相次いでいる。自分たちの取り組みが、市民の防災への関心を高めるきっかけにもなれば」と期待を寄せる。