苫小牧市は錦岡の市有地を民間事業者に貸し出し、太陽光による地産地消の発電事業を推進する。脱炭素社会実現に向けた取り組みで、電力の供給先が①すべて市有施設②市内の事業所など―の2パターンで公募。プロポーザル(企画提案)方式で、今年度内に発電事業者を決める方針だ。
貸し出す市有地は、旧錦岡放牧場と隣接地の計約80ヘクタール。錦大沼公園やオートリゾート苫小牧アルテンに近い市街化調整区域で、貸付料は1平方メートル当たり年2円5銭とする。
このうち、①は山林の約27ヘクタール(事業可能面積8ヘクタール)で太陽光パネルを自ら設置した上、発電した全量を市有施設に供給する事業提案を求める。「オフサイトPPA(電力購入契約)方式」で事業規模は数メガワット、電力単価を1キロワット時当たり上限額21円とする条件も盛り込んだ。
環境省の脱炭素・再エネ関連交付金(重点対策加速事業)を活用し、事業費の2分の1(最大3億円)を補助。26年度に設計、27年度の現地工事を経て、28年度の発電開始を目指す。
②については原野を中心とした約53ヘクタール(同50ヘクタール)の市有地を用意。主に市内の事業所や家庭などに電力を供給する提案を求める。太陽光パネル設置費用は事業者の自己負担とし、事業規模は数十メガワットを見込む。発電開始時期は「遅くとも30年度まで」とした。
このほか▽国内で太陽光発電事業の実績がある▽電力供給期間は17年以上継続▽地元経済への貢献の提案▽周辺環境および景観などへの影響に配慮した対策の提案―などを共通の必須事項とし「自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例」に基づき、周辺地域への説明を要請する。
市ゼロカーボン推進室は「苫小牧は太陽光発電の適地だが、事業化に当たっては自然環境への影響に十分目を配る」としている。
参加意向書を16日、提案書を12月22日までそれぞれ受け付け、来年2月までに審査結果を公表する。