苫小牧市の有償ボランティア団体「サポ♡ラブ」(中尾宏之代表)の活動内容が、NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター(宮城県)発行の「生活支援体制整備事業・事例集」に掲載された。道内の地域活動に焦点を当てた調査・研究の一環で、中尾代表は「活動を開始して間もないが、先進事例として認められてうれしい」と語る。
人口減少や高齢化が著しい道内で展開されている生活支援体制整備事業に着目し、地域の持続可能性をどう確保していくか考えることを目的とした研究。道内自治体を対象としたアンケートや地域活動に励む団体などへのヒアリング調査も行い、北海道教育大学函館校の齋藤征人教授を委員長とする、学識経験者や行政担当者らでつくる研究委員会で昨年7月から今年3月にかけて取り組んだ。
事例集は研究成果が全国各地の支え合い活動の参考となるよう、「地域コミュニティを持続可能にする推しポイント」のタイトルで3月に発行。4市町の自治体と9市町で展開されている地域活動が紹介されており、「サポ♡ラブ」は地域活動の一つとして取り上げられた。
同団体はごみの分別や電球の交換、ペットの散歩、庭の手入れなど生活の中でちょっとした困り事を抱える高齢者を、同じ地域の住民が手助けする有償ボランティア組織。事例集では2023年12月の立ち上げ経緯や、翌24年2月の活動開始以降の取り組みを紹介している。市西地域包括支援センターの担当エリアを活動区域とし、同年4月~12月で住民主体の生活援助「サービスB」の枠で313件、要介護者に行う生活援助に当たる「生活支援」の枠で346件に上ったことが紹介されている。
封筒の宛名書きのボランティアを利用しつつ、裁縫の腕前を生かして支援側に加わっている90代女性の事例も紹介。この女性は体調面から外出は難しいものの「ほつれたカーテンを直してほしい」などとスタッフが自宅に依頼品を届けることで地域活動に参画できている。少しの空き時間でも活動できるため30、40代のボランティアも活躍。誰もが活躍できる持続可能な地域づくりの好例として取り上げられている。
事例集は道内の自治体に配布されているほか、同法人のホームページでも閲覧可能。中尾代表は「事例集掲載を契機に取り組みの住民周知を進め、ボランティアを確保してより多くのニーズに応えられるようにしたい」と意気込む。