多くの国宝を鑑賞できる機会が関西エリアで生まれている。博物館や美術館が、大阪・関西万博に足を運ぶ観光客を意識し、日本の名品を堪能できる展覧会を開催しているからだ。
奈良国立博物館(奈良市)は開館130周年記念特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」で、仏教・神道美術を中心に国宝約110点を含む計約140点を展示。法隆寺所蔵の「観音菩薩立像(百済観音)」など有名な国宝が並び、4世紀の朝鮮半島との関係を示す銘文が残る石上(いそのかみ)神宮所蔵の「七支刀(しちしとう)」は、本展を機に保存状態や銘文の詳しい調査を進めている。
大阪市立美術館は、大阪・関西万博開催記念と銘打ち「日本国宝展」を開催。国宝約130点を集め、日本の美術史や大阪にゆかりのある国宝などを解説する。尾形光琳筆の国宝「燕子花図屛風」(東京・根津美術館蔵)の期間限定公開なども企画される。
京都国立博物館(京都市)も、万博記念の特別展「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」を開いている。国宝こそ19点と少なめだが、空海が唐から持ち帰った経典を納めるため醍醐天皇が新調させたという「宝相華迦陵頻伽蒔絵 ■( ■(部首の「ツチヘン」) に塞) 冊子箱(ほうそうげかりょうびんがまきえそくさっしばこ)」など貴重な品々が並ぶ。
3館で国宝の数は計260点超に上る。いずれも開催期間は15日まで(展示替えあり)。「超 国宝―祈りのかがやき―」の展示風景=奈良国立博物館