以前は「インパチエンス」と呼ばれていましたが、いつのころからか、「インパチェンス」と呼ばれることが多くなりました。インパチエンスはラテン語で「こらえられない」を意味し、熟した実に触れると種がはじけ飛ぶことが学名の由来です。
アフリカ原産のツリフネソウ科の一年草で、「アフリカホウセンカ」という和名があります。これは、ツリフネソウ科が1955年までホウセンカ科と呼ばれていたことが背景にあります。ホウセンカも触ると種がはじけることから、「タッチ・ミー・ノット(私に触れないで)」という英語名があります。
夏の高温期に、風通しの良い半日陰や明るい日陰になる場所で育てると、晩秋まで赤やピンク、白、オレンジといった花を楽しめます。はじけた種が翌年発芽し、再び花を咲かせることがよくあります。クリスマスローズやヤブラン、ギボウシなどの多年草の間に植えてもよいですし、日当たりの悪い場所でも育つため、建物の陰や北向きの場所に植えても、明るい雰囲気になります。 ブラジル原産のシソ科の一年草。シソ科の植物は、茎が四角で、葉が向かい合って付くのが特徴です。
一般にサルビアと呼ばれているのはサルビア・スプレンデンスという種類。最近は使われなくなりましたが、ヒゴロモソウ(緋衣草)という和名があります。サルビアというと赤いイメージがありますが、白、サーモン、紫など花色は豊富です。
もともとは、昼の時間が短くなる秋にならないと花が咲かない短日性植物ですが、品種改良によって、最近は春から花付きの苗を見かけるようになりました。
高温多湿を嫌うため、夏の高温期に株の勢いが弱まり、花がまばらになります。夏の初めに半分から3分の2を残して切り戻すと、切った所から脇芽が出て、秋にはまた鮮やかな花を楽しめます。 草花の種類が春から夏へと移り変わる季節になりました。株いっぱいに花を咲かせるインパチェンス、鮮やかな赤が人気のサルビアを紹介します。(園芸研究家・平田幸彦)