エース桜井頼のこん身の直球に、最後の打者のバットが空を切る。歓喜の東北福祉大ナインがマウンドに集まり、人さし指を天に掲げた。山路監督は「ここまで来られるとは思わなかった。本当によくやってくれた」と選手をねぎらった。
投打がかみ合った。準決勝から連投となった先発の桜井頼は、疲れを感じながらも「変化球を中心に、しっかり組み立てることができた」。7安打1失点で完投。打線は序盤から畳み掛け、六回を除く毎回の15安打を放って8得点。盤石の試合運びだった。
強力な投手陣が注目されがちなチームだが、今大会は打線が活発。準決勝では青学大から8点を奪い、史上初の3連覇を阻んだ。準決勝、決勝で計7安打の佐藤は「こんなに打てるとは思わなかった」。大会を通じて59安打をマークし、最多記録を更新した。
過去に佐々木主浩、金本知憲らを輩出した東北の雄は危なげなく勝ち上がり、7年ぶりに日本一を奪還。それでも監督は現状に満足せず、「もっときめ細かな野球ができるように」。明治神宮大会が控える秋に向け、より完成度の高いチームに仕上げるつもりだ。