首周りを冷やす 近年は、体が暑さに慣れないうちに気温が急上昇する日も増えている。ちょっとした散歩で体が火照ったときは、氷などで首周りを冷やす「ネックアイシング」で全身を素早く冷やすことができる。新百合ケ丘総合病院(川崎市)救急センターの伊藤敏孝センター長は「熱中症の予防や重症化を防ぐ効果も期待できます」と話す。
▽基本は水分補給
熱中症対策の基本は水分補給、塩分補給、室内の温度・湿度管理。中でも「水分は、喉の渇きを感じる前に飲むことが大事」と伊藤医師。特に高齢者は渇きを感じにくい。
夕食以降、夜間にトイレに行くのが面倒で、意図的に長時間水分を取らないで過ごすと脱水症状に陥りやすくなる。
朝は食事を取らずに活動を始めると、夏場は隠れ脱水からめまいを伴う熱中症を起こす場合も。
水分は食事からも取ることができる。例えば、「みそ汁は水分も塩分も効率よく取れます。朝食を抜かず、少量でも毎朝食べる習慣を付けましょう」。
水分を取っているつもりでも、実は量が不足している人は多い。「トイレに行く回数が少ない、一回の尿の量が少ない、尿の色が濃いのは水分不足のサインです」
▽コンビニ氷も
首には脳へ血液を送る頸(けい)動脈という太い血管がある。首を冷やすと頸動脈を流れる血液の温度が下がり、冷えた血液が全身に回り、体を効率的に早く冷やすことができる。
ネックアイシングは手軽さも利点だ。氷をチャック付きポリ袋などに入れてタオルで包み、首に巻くだけなので、外出先でも気軽に活用できる。
「散歩や外出の際に火照りを感じたときは、冷房が効いた場所に避難してください。コンビニやスーパーなどで購入した氷をタオルや大きめのハンカチに包んで首に巻くか、氷の袋を服の上から首に当てましょう」
氷を地肌に当てると、皮膚にくっつくことがあるため、直接触れないのがポイントだ。冷やす時間は、気持ちがいいと感じる程度が目安。首を冷やしながら、冷たい飲み物で水分を補給するとより効果的という。
「ぬらしたタオルや制汗シートなどで首を拭くのもお勧めです。肌に水分が付いていると蒸発して涼しく感じられます」と伊藤医師は助言する。
(メディカルトリビューン=時事)
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