G7、首脳宣言見送り ウクライナ一致せず 6分野で声明 サミット閉幕

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  • 2025年6月19日
G7サミットの参加者に加え、招待された国と国際機関のトップらと並び、記念撮影に臨む石破茂首相(後列右から2人目)=17日、カナダ・カナナスキス(代表撮影・時事)

 【カナナスキス(カナダ)時事】先進7カ国首脳会議(G7サミット)は17日(日本時間18日)、カナダ西部カナナスキスで2日間の討議を終えて閉幕した。首脳宣言は見送られ、個別の6分野に関する共同声明を発表した。トランプ米大統領と他の6カ国首脳との対立を避けるためだ。トランプ氏が初日の討議後に帰国するなど、異例のサミットとなった。

 G7サミットが成果を包括的に示す首脳宣言(コミュニケ)を見送ったのは、2014年にロシアをG8の枠組み(当時)から排除して以降で初めて。議長国カナダのカーニー首相は閉幕の記者会見で「問題ない」と強調。「新たな協力の時代を構築するための第一歩だ」と述べ、結束を訴えた。

 17日に発表した声明は重要鉱物、人工知能(AI)、量子、国境を越えた抑圧、山火事、移民対策の6分野で、いずれも米国の同意を得やすい内容だ。イスラエルとイランの軍事衝突を受けて16日に発表した首脳声明も米国の意向を反映し、イスラエル支持を明確にした。

 ロシアのウクライナ侵攻に関する共同声明はまとまらなかった。米国が、他の6カ国による草案の表現を弱めるよう主張したためとみられる。ウクライナのゼレンスキー大統領も参加した17日の討議をトランプ氏は欠席した。

 カーニー氏は議長総括を発表。ウクライナ情勢については、G7がウクライナ和平に向けたトランプ氏の取り組みを支持すると明記した。「ロシアへの圧力を最大限に高める、あらゆる選択肢を模索する」として、ロシア制裁の必要性を訴える欧州側にも配慮した。

 議長総括では東アジア情勢にも触れ、自由で開かれたインド太平洋の重要性を指摘。中国に関し、東・南シナ海での法の支配を揺さぶる「不安定化活動」への深刻な懸念を表明したほか、台湾海峡の平和と安定の重要性も確認した。北朝鮮による核・ミサイル開発や拉致問題への懸念も示した。

 石破茂首相は内外記者会見で「G7首脳が結束し、連携して、国際社会の諸課題への対応を主導するとの姿勢を示すことができた」と語った。

 来年のG7サミットはフランス東部エビアンで6月14~16日に開かれる。

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