基本と健康が大事/シニア剣道が熱い/全国大会平均年齢は70歳

  • シニア
  • 2025年6月20日
演武で日本剣道形を披露=6月2日、東京都千代田区の日本武道館
演武で日本剣道形を披露=6月2日、東京都千代田区の日本武道館
熱戦が繰り広げられた=6月2日、東京都千代田区の日本武道館
熱戦が繰り広げられた=6月2日、東京都千代田区の日本武道館

 演武で日本剣道形を披露=6月2日、東京都千代田区の日本武道館熱戦が繰り広げられた=6月2日、東京都千代田区の日本武道館 高齢になっても続けられ、心身ともに鍛えられる武道として人気の高い剣道。若い頃から継続している人だけでなく、仕事や子育てが一段落して再開する人や、中年以降に初めて習う人も少なくない。〝シニア剣士〟らは「基本と健康が何より大事」と口をそろえる。

 日本武道館(東京都千代田区)で2日、剣道と銃剣道の腕を競う「全日本高齢者武道大会」(全国老人福祉助成会主催)が開かれ、全国から55歳以上の男女約780人が参加した。平均年齢は約70歳。85歳以上の男性が出場できる「寿A組」で2連覇を果たした常光彰さん(86)は「高校から剣道を始めたが、学生時代は一度も選手として試合に出られなかった。80代以上になれば、うまい人でなく元気な人が勝てる。体が動いた人が勝ち」と、謙遜しつつ喜びを語った。

 大会を共催する全日本高齢剣友会(同港区)によると、全国の会員数は約1100人に上り、88歳以上43人、90歳以上24人が在籍している。同会理事長で、教士7段の五十嵐郁雄さん(78)は、高齢になっても剣道を楽しむポイントとして①健康であること②無理せず継続すること③基本を正しく④謙虚さと感謝の気持ちを持つ―の4点を挙げる。

 五十嵐さん自身、若い頃に腰椎分離症の診断を受けたが、「剣道が適度な運動とリハビリになったのか、症状に悩まされることなくこの年齢まで続けられた」。一方で、「再開して最初は張り切って稽古に通っていた人が、しばらくすると来なくなることがよくある。理由は多くが健康問題。痛みが出たけれど無理して続けて医師に止められたケースや、持病の悪化などで諦めた人もいる。年齢や体力、健康状態、生活環境などを十分考慮して稽古を楽しんでほしい」と強調する。

 その上で五十嵐さんは、剣道の大きな魅力として「究極の一本(有効打突)の追求」を挙げる。剣道は初段から8段までの段位があり、「完璧な一本が出ないと昇段審査で合格できない」と説明。「試合でも旗が上がる(有効打突と認められる)かもしれない技ではなく誰もが納得する一本、打たれた方も『参った』と納得する一本を追求したい。自分はまだまだ」と笑う。

 剣道はスポーツとしても楽しめるが、心身の鍛錬を目指す武道でもある。「やればやるほど剣道の深さに気付く」と五十嵐さん。「継続は力なりで、無理をせずに長く続けてほしい」。

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