皆さん、初めまして。私は2024年4月に現職に着任し、1年がたちました。このたびその縁で本コラムを書く機会を頂けました。1年間、どうぞよろしくお願いします。
さて、皆さんは「高専」がどのような所か、ご存じですか? 実は、私の出身地である神奈川県には高専がありませんでした。恥ずかしながら、私が高専という存在を知ったのは、つい最近です。そのため、赴任してからも日々「高専」について学び続けています。
私なりに高専を理解すると、「科学技術者の育成機関」、言い換えれば「社会のお医者さんを育てる学校」だと感じています。お医者さんが人の体の病気を治すように、科学技術者は社会の病気を治していく存在です。お医者さんは目の前の1人を救いますが、科学技術者は、目には見えない何万人、何十万人、時には何億人もの人々を助けることができます。それは時代を超える人々にまで恩恵が及びます。
もちろん、社会の役に立つ仕事は他にもたくさんあります。その中でも「社会のお医者さん」に、特に夢があると私が感じるのは、この職業が特別な才能を必要としない点です。必要なのは、誰もが幼い頃に持っていた「好奇心」と「遊び心」、ほんの少しの「努力」だけ。誰にでも平等にチャンスがあり、努力すれば報われる。そして、その仕事で生活が成り立ち、社会にも貢献できる。そんな素晴らしい職業が、科学技術者です。
(苫小牧工業高等専門学校准教授)