―2023年を振り返って。
「まだ影響はあるが、脱コロナに転換した1年だった。主力のホテル事業と新千歳空港発着便の機内食事業はどちらも回復基調。売り上げは22年度比でホテルが20%増、機内食が120%増になった。特に機内食事業は国際線が復活し、現在5社5路線で再開されている。ホテルも、インターハイ開催(7月22日~8月21日)があり、ビジネス客などの利用も好調で、コロナ前と比べて宿泊は80%まで戻ってきた。一方、宴会需要は少しずつ回復も、50%弱にとどまっている」
―インバウンド(訪日客)需要の現状は。
「苫小牧では依然として戻ってきていない。北海道では、まだ札幌での宿泊や観光が中心。コロナ前の苫小牧では、ゴルフの団体客や札幌で宿泊し切れなかった人が多かったが、そこまでは回復していないという認識だ」
―業界の現状と課題は。
「半導体製造ラピダス(東京)の千歳市進出など、IT(情報技術)企業の大型立地案件が相次ぎ、宿泊需要の高まりが期待される。また、インバウンドの復活で、道内の新たなリゾート地形成の流れも、徐々に出てきている。ただ、原材料やエネルギーの価格上昇、長引く人手不足などの懸念がある。当社も苦戦する宴会部門を中心に、事業の再構築を引き続き検討しなければならない状況だ」
―課題への対策は。
「次世代に向けた取り組みを急ピッチで始める。ホテルは顧客ニーズに合わせたサービスへと改変を進め、レストランでオンライン予約システムや注文時のタッチパネルの導入も検討している。また、人手不足の現状を受け、機内食事業も冷凍食品の導入に向けて準備を進めている。これまではすべて空港敷地内の工場で作っていたが、外注の冷凍食品にすることで長期保存が可能になり、人件費の削減も期待できる。増員も進めるが、今後のさらなる国際線の再開を見込んだ動きになる」
―今年の展望は。
「コロナ禍で途絶えていたイベントも復活し、見通しは明るいように感じている。マイナスの要素は見当たらず、25年度にはコロナ前に戻ると想定している。当ホテルも数百人単位で集まる『銘酒会』などを再開し、新しいイベントも考えていきたい。
ホテルも今年で25年になった。設備の老朽化も進んでおり、すでに外壁タイルの補修を3年計画で始めている。10年程度の長期計画になると思うが、客室や共用廊下、水回り設備のリフォーム計画を立てていく。苫小牧市のシティーホテルにふさわしい内装にしていきたい」
1963年4月開業。現在運営する「グランドホテルニュー王子」は99年5月にオープンした。従業員は2023年4月現在、パート、アルバイトも含めて350人。