(11)生成AI活用に投資 DX化の進展追い風に I・TECソリューションズ 住岡(すみおか) 弘(ひろし)社長

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  • 2024年2月6日
(11)生成AI活用に投資 DX化の進展追い風に I・TECソリューションズ 住岡(すみおか) 弘(ひろし)社長

  ―2023年を振り返って。

   「売り上げはやや伸びたが、利益は少し低迷した。好調と不調の部門が分かれ、大きな赤字を出したプロジェクトや、価格転嫁がうまくいかなかったところが、利益を押し下げる要因になった。従来型のビジネスに依存し過ぎると、未来が開けないと実感している。また、人材確保の厳しさが業績にも反映され、対処に追われた1年だった」

   ―業界を取り巻く環境と課題は。

   「DX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展が地方まで及び、われわれにとって追い風になっている。来年から(国や地方自治体が共同利用する情報システム基盤)ガバメントクラウドが始まり、自治体の基幹業務が標準化される。業界は人海戦術で対応している。

   民間企業も本州の大手ではDXが常識。道内でも昨年は大手を中心にかなり進んだ。課題は中小企業がどこまで推進できるか。立ち遅れると大手にいろいろな面で席巻される。DX化による勝ち組と負け組がはっきりとしてくるだろう」

   ―今年開始予定の地域BWA(広帯域移動無線アクセス)システム事業の現状は。

   「6月の完成を予定している。総務省から助成を受け、災害時の避難所支援サービスを提供することになった。BWAのネットワークを使い、遠隔で避難所の鍵を解錠したり、避難者の人数をリアルタイムで把握したりする仕組みができる。今後、BWAの認知が進むのではないか」

   ―ソフトバンクのデータセンター(DC)苫小牧進出や、千歳で工場を建設中の次世代半導体製造ラピダスについては。

   「生成AI(人工知能)のような膨大なデータを処理できる規模のDCは、さまざまなことに挑戦できるビジネスチャンスになるかもしれない。ソフトバンクに何らかの形で接触し、共にできることを探りたい。

   ラピダス本体の仕事は大企業が担うことになるだろう。当社としては付帯するさまざまな企業の進出に期待している。それら企業のIT(情報技術)化を手伝えればと思っている」

   ―今年の展望は。

   「生成AIの活用やDXに関連する研究開発、人材育成への投資を拡大する。単年度の業績は厳しくなっても、勇気を持って投資に踏み切らないと、将来が大変なことになる。今年はかなり勝負の年になる。

   例えばシステムテストの分野は、人海戦術だった部分の自動化が進んでいる。『下流工程』に当たる単純作業の開発はAIに取って代わられる。これらの仕事に関わっていた社員を、企画力を持った人材へとリスキリング(再教育)する育成プランを構築したい。

   支える人材の定着も大切。モチベーションを維持してもらうため、働く環境の整備を進める。テレワークで仕事をする社員が少なくなってきたこともあり、社内が少し手狭になっている。環境改善のためにも、社屋の改装も検討している」

  メモ

   1970年設立。データセンター運営などのIT関連業で、ゴルフ場向けのカート案内システムは全国シェア3位。従業員数は昨年12月現在208人。

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