―2023年を振り返って。
「半導体の供給が回復してきたことで、(自動車部品は)生産減につながるリスクがほぼ解消された。上半期(4~9月)は計画を上回り、売り上げ、営業利益ともに目標を達成できた。一方、10月以降は難しい状況になっている」
「22年度は過去最高の売上高142億4000万円に達し、23年度も同等の水準を想定していたが、下半期(10月~翌年3月)は計画を下回りそう。中国やタイ向けの減産が主な影響。供給先の都合でどうしようもできないことではある」
―1月以降の巻き返しは。
「新しい仕事が立ち上がりつつあることが救い。ハイブリッドシステム向けのリアカバーを受注し、今年から生産を開始していく。既存製品が想定外の状況とあって、新製品が規定生産数に達すると、良い方向に向かっていくのではないかと期待している」
「さらなる電動系の部品を受注できるよう競争力も高めていきたい。グループ内でも競う必要があるため、力を付けなければ仕事は取れない。昨年から3年計画で生産体質の向上やコスト削減の可能性を全社挙げて取り組んでいる。生産コストは他拠点と比べても負けていないと自負しているが、ネックは遠方への輸送費で、カバーできるように改善しなければならない」
―生産活動の動向。
「電動ウオーターポンプ(EWP)部品のサクションカバーは22年秋に立ち上げた(排気量)1・5リットル、23年の2リットル両ラインとも想定以上に順調な生産。現在は月産5万5000台ほどで推移している」
「自動変速機(AT)に必要な油圧を制御する主力のバルブボデーなど、海外向けの減産で落ち込みが激しいのは気がかり。さまざまな社会情勢の影響を受けるため読み切れない部分はある」
―脱炭素化の進展は。
「太陽光発電をPPA(電力販売契約、事業者が太陽光パネルを設置して同社が電気料金を支払う)で導入する方針は変わっていない。敷地内に発電設備を構えるオンサイト方式を想定し、早ければ24年度の設置、25年度に運用を開始したい。アイシングループ全体で取り組む25年、30年の二酸化炭素(CO2)排出削減計画にのっとって準備を進めていく」
「水素の利活用など本社サイドも技術開発が進んでいる。苫小牧市はカーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出ゼロ)に熱心な地域で、行政や他の企業とも連携しながらやっていけるとありがたい。CNへの取り組みは一つの地域貢献。しっかり対応したい」
メモ
自動車部品総合メーカー・アイシン(愛知県)の100%子会社。従業員580人規模でアルミ鋳造部品を生産している。