(5) 生産上向きに期待 組織内の絆深める 日本軽金属苫小牧製造所 栗田(くりた) 勤(つとむ)所長

  • 企業トップに聞く2024, 特集
  • 2024年1月17日
(5) 生産上向きに期待 組織内の絆深める 日本軽金属苫小牧製造所 栗田(くりた) 勤(つとむ)所長

  ―2023年を振り返って。

   「新型コロナウイルス禍に伴う規制の緩和で、生産活動は徐々に戻ってきた。トレーラーやコンテナシャシーを生産するフルハーフ北海道は、フル生産しても追いつかないくらい忙しい。断熱パネルなどを手掛ける日経パネルシステム苫小牧工場も、食品関連の引き合いがあって好調。一方、原材料の価格高止まりや国際情勢、為替の変動など厳しい部分もあった」

   「(日軽北海道サービス事業部の)バス事業はコロナ前のようにフル稼働。酒類などを販売する『リカーショップNIKKEI』(苫小牧市日新町)は取り扱う商品を他店と差別化し、SNSも活用して集客につなげている」

   ―新年への思い。

   「昨年は、コロナ禍で自粛していた工場内イベントや社員レクリエーション、とまこまい港まつりの市民おどり参加、各社間の往来が次々と再開した。安全面やカーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出ゼロ)に向けた環境対策など、グループ一丸で取り組まなければならないことが多々ある。製造所内の関係性、絆をいま一度深める年にしたい」

   「生産活動は原材料価格の高騰など、いまだ不透明な部分があるが、半導体不足も解消されつつあり、上向きになることを期待している。千歳に進出したラピダス(東京)の動向によっては、クリーンルーム用パネルを製造するパネルシステムや物流分野のグループ企業にもいい影響が出てくると思う」

   ―CNの取り組みは。

   「日本軽金属ホールディングス(東京)は昨年4月、2050年CN達成に向けてカーボンニュートラル推進室を設置した。グループ全体でCNの取り組みを加速させるため、適宜情報を共有している」

   「リサイクルの優等生ともいわれるアルミニウムを扱っている。リサイクル事業を担う日軽エムシーアルミ(東京)のノウハウも生かし、使用済み製品を同じ製品に再生産する水平リサイクル、グリーンエネルギー活用と一つずつ理想を具現化していく」

   ―苫小牧工業高等専門学校と車いすを共同開発してきた。

   「来年度は高専生に車いすバスケットボール用の設計、強度計算に取り組んでもらい、アルミの可能性をさらに探っていく。下肢に障害のある方が使用するシットスキーの製作にもチャレンジする」

   ―日軽金グループは障害者理解に精力的だ。

   「苫小牧製造所も本格的な障害者雇用を目指し、体制づくりや施設整備に励んでいる。昨年は日軽金とスポンサー契約を結ぶ車いすラグビー日本代表でメダリストの池崎大輔選手が苫小牧市内の児童と交流した。パラスポーツの魅力発信やサポートに貢献したい」

  メモ

  アルミニウムの総合メーカー、日本軽金属グループ6社からなる複合組織。苫小牧市晴海町の約93万平方メートルで新規事業、加工製品事業を行う。

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