4 立地加速 飛躍の年に 市民に身近な場所へ 株式会社苫東 辻(つじ) 泰弘(やすひろ)社長

  • 企業トップに聞く2024, 特集
  • 2024年1月15日
4 立地加速 飛躍の年に 市民に身近な場所へ 株式会社苫東 辻(つじ) 泰弘(やすひろ)社長

  ―2023年を振り返って。

   「動きがどんどん加速した1年だった。ウイスキー専売業ベンチャーウイスキー(埼玉)の蒸留所着工は大きなインパクトがあり、ダイナックス(千歳)苫小牧工場のオフサイトPPA(電力販売契約)による太陽光発電設備の運用開始も一つのアピール材料になった。ここ数年で見ても比べものにならない早さで物事が進んだが、それはわれわれが求めていたことでもある。とても手応えを感じている」

   ―化石燃料を自然由来のクリーンエネルギーに転換し、経済社会システムの変革を図るグリーントランスフォーメーション(GX)の進行具合は。

   「時代を先取りしながら、しっかり波に乗れていると、自負している。昨年4月に社内各部署から横断的に人選したGX戦略推進室を開設した。今やGX抜きでは語れない世の中になり、企業にとってすぐさま取り掛からなければならない事案になった。道内外はもちろん、市内企業もかなりスピード感を持って取り組まれている印象がある。

   そこに苫東がどう関与していけるか。単に土地を売る不動産のスタンスでは駄目。推進室メンバーを中心に待ちの姿勢ではなく、プロジェクトメーキングも含めて、フル回転してもらっている。立地企業側から相談を頂くのはもちろん、一種の御用聞きもして日々連携を深めている」

   ―不動産の現況は。

   「大変ありがたいことに数年先までの話が多く来ている。土地の造成前から問い合わせもある。造成は完了までに5年ほど必要になる。昨年は苫東本社横の一等地とも言える臨空柏原地区中心部の造成を始めた。臨海地区も今年の早い段階で着手していきたい」

   「バイオマスや太陽光、風力、蓄電池などのGX関連をはじめ、リサイクル、物流など多分野から関心が寄せられている。(造成地の)在庫がないわけではないがさまざまなオーダーに対応できるよう、常に先々を見据えた持続的な経営をしていくため、造成作業も精力的に進めたい」

   ―今年への思いは。

   「飛躍の年に位置付けたい。右肩上がりの傾きを、さらに大きくさせる変化をつくる。昨年は転換点と捉えながら、23年3月期決算は純利益6億3863万円と過去最高になった。既に2、3年先の未来まで見えてきた。もっと立地などの動きは加速していくと思う」

   「苫小牧あってこその会社。改めて広く市民の方々にわれわれの活動を知ってもらいたい。苫東地域は過去とは大きく異なり、刻一刻と景色が変化し、にぎやかな場所になっている。市民にもっと身近な場所になれるよう、05年から行っている『苫東インダストリアルパークフォトコンテスト』はもちろん、市とも協力しながらイメージを変えたい」

  メモ

  苫小牧東部地域(通称苫東地域)1万700ヘクタールで、産業用地の造成、分譲を行っている。緑地3200ヘクタールも保有している。

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