車いすラグビー選手で、東京パラリンピック銅メダリストの池崎大輔選手(45)は、苫小牧など道内各地の学校を回り競技の普及や障害者スポーツの理解促進に力を入れている。パラスポーツを通じて伝えたい思いを聞いた。
(聞き手・報道部富樫陸、撮影・同高橋真希)
―車いすラグビー選手になったきっかけは。
6歳の時、手足の筋力が低下するシャルコー・マリー・トゥース病と診断された。岩見沢高等養護学校在学中に、卒業生が体育館で車いすバスケットボールをしているのを見て障害があっても競技者になれることを知った。2年生から車いすバスケに15年間打ち込んだが、腕の筋力低下が激しく断念。四肢に障害があってもプレーできる車いすラグビーに転向した。
―車いすラグビーの魅力は。
車いす同士がぶつかる大きな衝撃が気持ちいいし、相手を突き飛ばすのも楽しく、自分の性格にあっていた。いろんな障害を持っている人と悩みや冗談を話すのが楽しく、自分らしさを出せる場所。それぞれの選手は瞬発力やブロックなどの持ち味があり、ハンディを持っても一丸となって打ち込めるところも魅力だ。
―苫小牧とはどんな縁があるのか。
今年の3月、日本軽金属と個人スポンサー契約を締結した。苫小牧製造所の方と一緒に市内の小学校を巡ったり、とまこまい港まつりで市民おどりにも参加した。苫小牧製造所の体育館「日軽アリーナ」は地域の車いすバスケットボールチームの練習場として貸しているなど、パラスポーツに対する縁を感じている。
―プレーや学校訪問でどんなことを伝えたい。
健康な身体の今を幸せに感じ、どんなことにも挑戦してほしい。できないことをできるようになった喜びと自信は自分を成長させる。パラスポーツや障害者への知識を持って大人になるのと、持たないで大人になるのは価値観の違いが生じる。いろんな悩みや障害を抱えている人がいる中で、自分が基準と判断しないで理解してほしい。
―今後の目標は。
パリパラリンピックの日本代表に選ばれるよう自分自身を磨き上げ、必ず金メダルを獲得したい。
プロフィル
函館市出身。ロンドン、リオ、東京パラリンピックに出場し、リオ、東京で銅メダルを獲得。来年のパリ大会に向けて、日々トレーニングを重ねる一方、パラスポーツの普及活動にも力を注いでいる。