新札

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  • 2024年8月20日
新札

  新紙幣の発行から1カ月半余りが過ぎた。20年ぶりにデザインを一新し、偽造対策の強化とユニバーサルデザインへの対応を目的に、さまざまな趣向を凝らした新札。ATMやレジで手に入る機会が増えたようで、周りから「きれい」「おもちゃみたい」と幅広い反応を聞く。

   そんな会話をいまだ傍観して聞いている。記者の手元には新札が舞い込む気配すらない。買い物は基本、クレジットカード。ポイント付与のある店を選び、節約につなげる習慣が身に付いた。財布にはもしもの時に備えて現金も入れているが、使用はかなり限定的になった。

   大抵の店ではカードを端末にかざすだけ。手持ちの金額を気にせず買い物が楽しめる。暗証番号を求められてもミミズがはったようなサインで大丈夫。手軽で便利すぎて、仮に不正利用されたら、相当の痛手だろう。利用履歴はまめに確認する。現金ほどの信頼感はまだ、ない。

   キャッシュレス決済が浸透、拡大しているが、世界の主要各国と比べれば日本は後進国。券売機や自動販売機などを置いている店も、設備更新の負担増にもかかわらず、新紙幣に対応したところも多い。せっかくの新札登場を機に、それぞれの長所や短所を改めて見詰め直してみても、いいのかもしれない。(金)

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