脳内活性化

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  • 2024年5月9日
脳内活性化

  相手の名前がなかなか思い出せない。そんな記憶障害のような症状に悩んだ経験をもつ人は意外に多い。「70歳が老化の分かれ道」の著者で精神科医の和田秀樹氏は、脳の老化を進めるものに「意欲の低下」があり、それが欠けると脳の機能維持が困難になると指摘している。

   意欲の低下は脳内神経伝達物質セロトニン(通称・幸せ物質)を減少させるためで、幸せ物質を増やすために1日1回外に出て散歩することを推奨する。また、高齢者は「頭と体を使い続けることが重要」とも強調し、外出機会が失われかねない地方の高齢ドライバーの免許返納にも慎重で、独自の見解を示す。

   厚生労働省の委託機関が8日発表した高齢者の認知症患者数の推計に興味を引いた。団塊ジュニア世代が高齢期を迎える2050年に586万6000人に達し、65歳以上に占める割合「有病率」が15・1%。実に7人に1人が認知症になるという試算だ。22年の認知症患者は443万2000人、今後1年間に5万人以上が増えていく見通しだ。

   救いは、生活習慣の改善によって認知症の進展を遅らせることが可能ということ。国は調査データを基に認知症対策を盛り込んだ基本計画を今秋までに策定する方針で、その内容に着目したい。(教)

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