感謝

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年3月23日
感謝

  少子化にどう対応するか―。そんなことを考えながら、春分の日の朝にNHK総合テレビ「限界集落住んでみた」を見た。岩手県岩泉町大川地区が舞台。300人以上の児童が居た大川小学校は3年前に閉校した。65歳以上が人口の5割を超えた限界集落にも、元気が見えた。

   校舎は、閉校の年に用務員を務めていたおばあちゃんらが、今も掃除を続けているそうだ。校舎からは毎日、授業の始まりなどを知らせるチャイムが流れ、空き家の多くなった地区の、時を刻む。

   午前9時すぎからは春の甲子園大会に21世紀枠で出場した根室管内別海町の別海高校の球児たちの奮闘を見た。農家からはビニールハウスや乳牛の品評会場が練習用に提供された。打撃練習の防護網は漁師さんが作ってくれたそうだ。「なーんもだ」。お礼に応える漁師さんの、照れくさそうな声が聞こえるようだ。

   1984年夏の甲子園に十勝管内広尾町の広尾高校が出場した。当時勤めていた先生の話を、以前の勤務地で聞いた。卒業生たちが連日訪れ、無造作にポケットから支援の気持ちを置いていったそうだ。常連校の甲子園よりも、地域と支え合って到達した甲子園がいい。感謝と称賛の時間は長く続く。それはきっと次の時代のふるさとづくりの力になる。(水)

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