独特な模様 サメハダヘイケガニ

  • 教えてムラさん, 特集
  • 2022年9月27日

  Q…子どもたちと勇払海岸で遊んでいると、子どもがカニを拾ってきました。甲羅の模様が人の顔みたいです。何というカニでしょうか?

   A…サメハダヘイケガニ(鮫肌平家蟹)は甲長(甲羅の縦の長さ)3センチほどのヘイケガニの仲間です。甲羅の表面や脚が顆粒(かりゅう)で覆われていてガサガサしているので「鮫肌」という名前が付けられました。ヘイケガニは甲長が2センチほどと小さく、甲羅や脚の表面に顆粒が無いことから区別できます。

   ちなみにヘイケ(平家)という名前は、甲羅の模様が人の顔に似ていることに由来し、瀬戸内海や九州沿岸に多いことから、「壇ノ浦の戦い」で敗れた平家武者の怒りや苦悶(くもん)が甲羅に乗り移って刻まれたという伝説に由来しています。確かに?不思議な模様ですよね。

   海に生息する生き物は浮遊して生きる「プランクトン」と海中を泳ぎ回って生きる「ネクトン」、海底や海岸をさまよって生きる「ベントス」に分けられます。ベントスに分類されるサメハダヘイケガニは、水深18メートルから154メートルほどの砂のたまった海底に生息しています。ヘイケガニの仲間は、短い4番目と5番目の脚で2枚貝の片貝を背負い、身を隠しながら海底を移動します。

   苫小牧市の太平洋沿岸には砂浜が広がり、ホッキ貝やホタテ貝が豊富に生息していることをサメハダヘイケガニが教えてくれます。

  (文とイラスト 自然誌研究家〈ゆうふつ原野自然情報センター主宰〉村井雅之)

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