地域が良くなることを願うなら投票に行くべき―。苫小牧を拠点に活動する6人組バンド「フリーキック」でトランペットを担当する河岸優樹さん(42)はそう考える。新型コロナウイルス感染拡大で、バンド活動を取り巻く環境は厳しい。「自分の一票で、あしたからの生活が一変するわけではないかもしれない」としながら「投票は大切」と力を込める。
白老町出身。全国ツアーをしたり、国内外のレーベルに所属したりし、「田舎にいても音楽は世界に発信できる」と苫小牧に根差した活動に誇りを持ってきた。思い描いたことを着実に実行に移し「(苫小牧でも)できることを自分より下の世代に見せたい」と走り続けてきた。
しかし、昨春から続くコロナ禍。音楽仲間の間でも「会社に止められている」「感染者が出たら責任を取れない」とライブの出演や来場を控えている人たちが多くいる。不平や不満が広がりやすい世相も肌で感じてきた。河岸さんは「今だからこそ、選挙で自分の意思を伝えて」と訴える。
自身も「自分たちの居場所を守りたい」とエンターテインメント業界をはじめ、コロナで苦境に陥っている人への支援策に注目し、一票を投じる予定だ。ワクチンを接種できない体質のメンバーがいるため、ワクチンパスポート導入の議論も、選挙戦を通して深まることを願う。「(投票は)大人や政治家たちが、苫小牧の若者らに目を向けてくれるチャンス」と捉えている。(高野玲央奈)