4 憲法改正 各政党さまざまな姿勢 賛否分かれる声 求められる議論

  • 2021衆院選 地域から問う, 特集
  • 2021年10月14日
憲法改正に反対の声を上げる「平和憲法を生かす苫小牧連絡会」

  2018年2月に苫小牧市民有志が発足させた「平和憲法を生かす苫小牧連絡会」。憲法改正勢力が拡大していくことへの警戒感から毎月、街宣活動で憲法改正に反対の声を上げる。5日には市内の国道36号沿いで「平和憲法を未来につなぐ」と記した横断幕などを掲げた。昨夏から活動に参加し、マイクを握った市内の主婦大井しおりさん(35)は「憲法を壊す政治に終止符を打ち、憲法が輝く新しい政治を」と訴えた。

   大井さんは20代の頃に職場で憲法を学ぶ機会があり、政治に目が向くようになった。「国民の権利を守る憲法の重要性を知ったが、それまで全く関心がなかった」と明かす。「今の改憲論議(の中身)を知れば問題点に気付けると思うが正直、同じ年代の友達とこうした話をしたことはない」と、もどかしさをにじませる。同日の参加者も多くが年配者で、大井さんが最も若かった。

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   一方、改憲に賛成する市民もいる。政権与党は集団的自衛権行使の閣議決定(14年)や安全保障関連法成立(15年)の際、安全保障政策と憲法解釈の変更をセットで打ち出してきた。自衛隊家族会苫小牧支部長を務める日川敏行さん(67)は「敵を撃退する戦力の明記は必要だ」と主張する。

   日川さんは航空自衛隊の元管制官。海外で紛争に巻き込まれた邦人を自衛隊が救出できない状況を見るたび、改憲の必要性を感じるという。自身の子ども2人も自衛官になった。「戦争は大反対で『侵略戦争を一切しない』と条文にあってもいい」と前置きした上で、「国の根幹にかかわる問題。もっと議論をしてほしい」と願う。

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   主要政党の憲法に対するスタンスはさまざまだ。

   自民党は新しい時代の憲法を目指すとし、▽自衛隊の明記▽緊急事態対応―など4項目を公約に挙げる。連立政権を組む公明党は現行憲法を評価した上で、時代に合わせて条文を新たにする「加憲」を主張し、衆院選では緊急事態下での国会機能維持など改正を議論する項目を公約に入れる方針を示している。

   立憲民主党は臨時国会の開会期限や衆院解散の恣意(しい)的運用の防止など改正論議の必要性を認める一方で、自衛隊の明記などの自民党改憲案への反対も表明。共産党は「憲法の全条項を守る」と公約し、安全保障関連法制や特定秘密保護法を明確に「違憲だ」と批判する。

   市内の北洋大学で憲法学を教える新庄勝美特任教授は「憲法も運用上、不都合があれば改正すべき」としながらも、天皇や国会議員、公務員などに憲法を尊重・擁護する義務を課す99条に言及。「国会議員は憲法を守るべき立場にある。国民の方から切実に憲法改正を求める声が上がらなければ、実現は難しいだろう」と指摘する。

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