巻かれたススキの葉はカバキコマチグモの産室

  • 教えてムラさん, 特集
  • 2021年7月13日
ちまきのように巻かれたススキの葉とカバキコマチグモ

  Q…ちまきのように巻かれたススキの葉を見つけました。なんでしょうか?

   A…ススキの葉がちまきのように巻かれたものは、カバキコマチグモの雌が作った産室です。産室は母グモが子どもを育てるための部屋で、その中で子グモが育ちます。

   カバキコマチグモの成体は雄が10ミリから13ミリ、雌が12ミリから15ミリほどです。網を張らず、歩き回って獲物を捕まえるクモなので見つけにくいですが、産室は目立つため簡単に見つけられます。でも、産室を見つけても開けてはいけません。カバキコマチグモの毒は日本に生息するクモの中で一番強く、産室を開けようとするとかまれます。かまれても命の危険はありませんが、強烈な痛みは半日ほど続きます。

   母グモは産室の中で産卵し、7月から8月にかけて子育てをし、9月中旬ごろに子グモたちが独り立ちします。子グモは2回目の脱皮を終えると、生きている母グモを食べてから独り立ちします。名前は子グモに自らの体を食べさせるという特殊な習性と体の特徴に由来しています。

   カバキコマチグモは毒を持っていますが、いたずらしなければかむことはありません。クモは生態系で重要な役割を持っています、いじめたり殺したりせず大切にしましょう。

  (文とイラスト ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之)=随時掲載

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