苫小牧40代女性 職場の同僚の濃厚接触者 ひどい倦怠感で味覚や嗅覚なく、自宅にマイクロバスの迎え

  • 新型コロナ感染者に聞く, 特集
  • 2021年3月10日

 苫小牧市の40代女性は昨秋、職場の同僚が新型コロナウイルスに感染し、濃厚接触者として検査を受けることになった。症状は全くなかったが同僚は同じフロアで働いており、検査対象になったことは当然のように受け入れた。

 検査は同僚の感染が判明した翌日に行われた。その日は朝、38度ぐらいの発熱があり、喉に痛みを感じていた。倦怠(けんたい)感がひどく、味覚も嗅覚も無い。検査結果は陽性だった。

 感染が判明後、保健所の担当者から濃厚接触者の有無や2週間前からの行動履歴、喫煙の有無などについて事細かに聴かれた。職場はクラスター(感染者集団)にならなかったが、年齢、性別、居住地の個人情報公開を快諾。「全道各地に感染が拡大する中、身近でも感染者が出ていることを知ってほしかった」と振り返る。

 札幌市内の療養宿泊施設に入ることが決まり、感染判明から2日目に「あす、宿泊できる準備ができました」と連絡が来た。急いで準備を進めたが、すでに熱は下がっていた。味覚を感じない症状はあったが「自宅療養でもいいのでは」と思った。自宅前にマイクロバスが停車し、防護服姿の人が玄関まで迎えに来た。「映画みたい」。近所の人の目が気になった。男女5人で相乗りし、札幌市内のホテルへ向かった。

 ホテル滞在は1週間。特に発熱や体のだるさを感じることはなく、過ごせた。洗濯は持参した粉洗剤を使って、部屋の風呂場で手洗い。テレビを見ながら食事をする毎日が続いた。退去時は部屋にあったガウンのパジャマやタオル、シーツなどを1袋にまとめておくよう指示があり、「ばい菌扱いされているよう」にも感じた。

 食事は1日3食とも弁当。「カルビ弁当」などは比較的豪華に感じたが、傷まないように保存していたためか「冷たくて、電子レンジが欲しかった」。味覚が戻らない状況ではあったが、空腹のため、毎回食事はとり続けた。

 帰宅した翌日には職場復帰したが、ホテル生活では感じなかった倦怠感が1週間ぐらい続いた。髪の毛を洗ったり、くしでとかしたりすると、抜けるようになった。抜け毛の症状はいまだに続いているという。

 女性はこれまで大きな病気にかかったことがなく、インフルエンザも未経験。そんな自分でも感染するコロナについて「どこで、どんな風にうつるのか予想ができない」と指摘。体調が気になるときは極力外出を控えるなど、「基本的な対策を徹底させるしかない」と訴える。

 今回の経験を身近な人たちに役立ててもらおうと、知人には感染の事実を隠さずに伝える。「話せばどんな生活を送ったのか―などと聞かれるが事前に知ることで、感染した際に準備することもできる」と説く。

 その上で、道などが公表する感染者情報については「もっと分かりやすくしてもらいたい」と希望。患者は『身近にもいるんだ』ということを知ってもらいたい。「それが個々の対策や予防への取り組みの推進につながる」。自らも感染したからこそ、強くそう実感している。

こんな記事も読まれています

ニュースカレンダー

紙面ビューアー