青は鉱物や岩石などの色を利用した石器や装飾品として見られます。美しい青色の岩石は出土地が限られているため、特定の産地から遠隔地まで交易によってもたらされていました。
平取町額平川流域で採れるアオトラ石は石斧の素材として多用されていて、市内の遺跡では製作途中のものも見られることから、素材を持ち込んで当時の居住地で製作していたことが分かります。一方でヒスイは新潟県糸魚川で採れたものが加工され、完成品を交易で入手していたことがうかがえます。
黒は黒漆を塗った土器のほか、蛇紋岩、黒曜石など黒く光沢を帯びる石が石器の素材として多く出土しています。実用目的以外に黒く光沢を帯びるものへの志向があったのでしょうか。
白はメノウ製の石器や骨角器などがあります。北海道で多く見られるメノウを素材とした石器は実は遺跡からしばしば出土しますが、あまり展示に用いられることはありません。
今回の展示では、土器の破片資料や石斧の未製品といった普通の展示ではあまり用いられない資料も展示しました。これまで収蔵庫に眠っていた資料も見せ方を変えると鮮やかな世界を見せてくれる資料になります。数千年前の鮮やかな世界を堪能し、当時の人々の色彩感覚に思いをはせるとともに、考古資料の新たな魅力を感じていただければと思います。
(苫小牧市美術博物館学芸員 岩波連)