上 遠隔地と交易で素材入手

赤い顔料がまかれた墓から出土した副葬品のコハク製装飾品(ニナルカ遺跡)

 苫小牧市美術博物館で企画展「総天然色!考古資料のあざやかな世界」が開催されている。色に視点を置き考古資料を紹介するという内容で、3月7日まで。同館の岩波連学芸員が3回にわたって解説する。

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 本展はこれまであまり着目されていない考古資料の色に焦点を当てた企画展となります。考古学というと教科書に載っている土偶や土器といった形のイメージはあるかと思いますが、色についてはいかがでしょうか。土中から掘り出されるため、くすんだ茶色のイメージがあるかもしれませんが、実際には本展で紹介するような赤、青、黒、白といった色鮮やかな資料が多く見られます。

 色を付けるには顔料を用いたり、基となる素材の色を生かしたりしますが、こうした素材はどこでも得られるものではありません。そのため、素材によってはわざわざ遠隔地から交易などで入手していました。こうした特定の材料を得るための交易ネットワークは縄文時代にはすでに確立していたようです。

 モノには形、機能のほかに色という要素があります。あえて特定の色を付けたり、そのために遠隔地から素材を入手していたりする行動からは、当時の人々のモノづくりに対する考え方の一端がうかがえます。長年の埋没に関わらず、今なお鮮やかな色を残す資料から、当時の人々の色彩感覚と、そこに込められた意味に思いをはせていただければと思います。

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 午前9時半~午後5時。月曜休館。観覧料は一般300円、高校・大学生200円、中学生以下無料。

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