アイヌ文化に触れる ウポポイで探究型教育旅行プログラム 初回は湘南学園中高校  白老

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  • 2024年12月28日
ウポポイの職員の話に聞き入る生徒ら

  白老町で民族共生象徴空間(ウポポイ)を運営するアイヌ民族文化財団は、同財団が作成し、共生社会についてウポポイと西胆振地域で学べる「冬季探究型教育旅行プログラム」を授業で活用する高校の受け入れを開始した。27日に1校目となる湘南学園中学高校(神奈川県藤沢市)から14人がウポポイを訪れ、国立アイヌ民族博物館の見学、アイヌ文化体験などを行った。

   学習指導要領の改訂で高校の授業に「総合的な探究の時間」が新設された2022年度、ウポポイは冬季探究型教育旅行プログラムの作成に着手。登別市や洞爺湖町などの自然に触れ、ウポポイ職員や地域住民と交流し、共生社会について生徒が自ら学ぶプログラムを完成させた。実施時期は道外の生徒が地元との環境の違いを実感しやすいよう冬季に設定し、活用を全国の高校に呼び掛けた。6月までにワークブックも完成させている。

   湘南学園中高の一行は、中学1、2年生と高校2年生が各2人、高校1年生が5人の計11人で、引率や添乗員を含め14人。昭和新山でスノーシュー、伊達市のだて歴史文化ミュージアムで藍染めを体験する予定などを立て、26~28日の日程で道内入りした。

   ウポポイでは伝統的コタンのチセ(かやぶきの家)で、職員の押野朱美さん(39)と川上将史さん(42)から、アイヌ民族の衣服や食べ物、芸能、言葉は道内各地で違うことを聞いた。一口にアイヌ文化と言っても多様性がある一方、過去の日本の同化政策によってアイヌ語が「極めて深刻な消滅の危機にある」と国連教育科学文化機関(ユネスコ)に指摘されるなど、復興が必要なことを学んだ。その後は国立アイヌ民族博物館の展示室を見学したり、敷地内で職員の講話を聞いたりした。

   中学2年の伊藤曜さん(14)は「カナダなど海外で同化政策があったことは知っていたが、日本にもあったとは今まで知らず、驚いている」と話していた。

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