終わり

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年12月4日

  高齢者が自動車を暴走させる事故が相変わらず多い。2019年4月19日に東京池袋で発生した暴走事故の無惨や恐怖を忘れない。乗用車が横断歩道に突っ込み、当時31歳の母親と3歳の女児の命を奪い、9人もが重軽傷を負っている。

   運転者は過失運転致死傷で21年9月に禁固5年の実刑判決を受け、服役中と思っていたが先月下旬の報道では10月末に亡くなっていた。93歳の獄死だった。

   いろいろな「終わり」が、近づいてくる。間もなく後期高齢者の自分の場合、運転免許証の有効期限切れも重大な別れの一つ。更新時の講習や試験を案内するはがきが先日届き、考えさせられた。

   入社して最初の仕事は、市立自動車学校で免許証を取得することだった。小さな事故を経験した。一度目は繁華街で、右折のために停止していた乗用車に追突した。速度違反でも2、3度、検挙された。お恥ずかしい。最後の事故は2年ほど前。自宅を出発した直後、近所の門柱に激突。体調も悪く車を手放した。まだ車のない生活の不便さに、慣れない。

   遺族の思いを刑務所職員を通じて受刑者に伝える「心情伝達」という制度があるそうだ。「高齢者に伝えたいこと」を尋ねると、93歳の受刑者は「免許証の返納を」と答えたとか。さて自分は。(水)

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