元北海道大学長で憲法学者 アイヌ民族文化財団理事長 中村睦男さん死去

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  • 2020年5月12日

 白老町で開業予定のアイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)を運営する公益社団法人アイヌ民族文化財団の理事長で、元北海道大学長の中村睦男さんが4月17日、心不全のため札幌市の病院で死去したことが分かった。81歳だった。札幌市出身で、自宅は北広島市。葬儀は近親者のみで行った。

 憲法学者の中村さんは1974年に北大法学部教授となった。政府の「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」の委員を務めるなど、アイヌ民族の復権に力を尽くした。97年のアイヌ文化振興法制定にも関わり、同法の施行で明治時代から続いた北海道旧土人保護法が廃止された。

 2001年から07年にかけて北大学長を務め、18年にアイヌ民族文化財団の理事長に就任。ウポポイ開業に向けた調整に携わった。同年4月の同財団発足に当たっては、「民族共生象徴空間はアイヌ政策の転換と飛躍の象徴」と開業準備への意気込みを語っていた。著書に「アイヌ民族法制と憲法」などがある。

 訃報に同財団副理事長で、北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は「アイヌ民族に心を寄せてくれる人だった。非常に残念だ」と話した。

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