新型コロナウイルスの感染拡大で、白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業の当面延期を決めた政府は、6月に白老町民向け内覧会の実施に向けて準備を進める方針だ。今後、実施に関する地元白老町の意向を踏まえて日程調整や具体的方法を検討し、内覧会の後、本格開業につなげたい考えだ。
内覧会については、赤羽一嘉国土交通相が8日の閣議後会見で、29日に予定していたウポポイ開業の当面延期に関連し、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除を条件に、6月中の実施を目指す考えを説明。その後、感染状況を踏まえ、本格開業につなげる方針を示した。
赤羽国交相の発言を受け、国交省など関係機関は6月の町民向け内覧会の実施に向けて準備に入る。政府関係者は「地元との調整を図り、日程や実施内容について検討していきたい」と話し、今後白老町に対して意向を確認するとした。一方、本格開業に関しては「日程や内容、全面開業の前段でまず団体客を受け入れるといったことも具体的に決めてはいない」と述べた。内覧会の実施主体については「まだ決まっていないが、ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団が実施する形も検討される」とした。
内覧会に関して地元白老町は、当初の4月24日開業を前に地元住民の機運を高めるため、開催を関係機関に求めていた経緯がある。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大でウポポイ開業自体を不安視する町民もいる中で「感染状況を踏まえ、しっかりとした安全対策を取った上で行ってもらうことが町のスタンス」としている。
また、地元の白老アイヌ協会の山丸和幸理事長は「ウポポイ開業への町民の気持ちを高めるためにも内覧会をぜひやってもらたい。その後の開業に関しては、道民、町民がおもてなしの心で来場者を迎えられる環境が整った上で全面的オープンという形を取ってほしい」と話している。