鈴木直道知事は8日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査の体制について「1日当たり1000人程度に拡充していく」とし、現行の同400人程度から2・5倍にする方針を明らかにした。道内では札幌市を中心に感染拡大の「第2波」が押し寄せており、「PCR検査体制拡充で早期に陽性者を確認し、感染拡大を防止するフェーズ(局面)に変えていく」と述べた。
日本のPCR検査数の少なさについては、専門家などからも批判が相次いでいる。厚生労働省は8日、受診の目安を改めた。知事は北海道については「従前、医師が必要だと判断した場合は、積極的にPCR検査を行ってきた」と強調。検査数を大幅に拡充することに関しては「現在の第2波の早期収束のためだが、今後、第3波が起きた場合にも備えていかなければならない」と意義を説明した。民間検査機関や保健所設置市の協力も得て、今月中を目標に拡充する考えだ。
7~15日の9日間延長した休業要請措置の見直しについての考え方も表明。(1)新規感染者の状況(2)感染経路不明の感染者の状況(3)医療提供体制(4)北海道の地理的特性―の4項目を示した。
新規感染者については「減少傾向にあるとの指摘もあるが、ゴールデンウイーク(GW)の行動抑制が効いているのかどうかは来週から見えてくる」と留意点を挙げた。医療提供体制も「重症化すると在院期間が長くなる」など逼迫(ひっぱく)状況を慎重に見極める必要性を指摘。北海道の地理的特性については「感染者が増加する札幌に人が集まり、札幌から戻って各地域での感染拡大が懸念される。大変難しい検討をしなければならない」とし、休業要請の見直しは15日に具体的な数値を入れた基準を示し、公表する方針だ。
国が家賃の支払いが困難な中小・個人事業主らを3分の2の上限付きで補助するなど新たな支援策を検討していることには「早く明らかにしてほしい。そこで道として、例えば制度に上乗せするとか、補えないところをフォローしていこうという話になる」と説明。「現時点ではどのような対策が最も効果的なのか、情報収集しながら検討している」と語った。
この他、4月30日に続き、第2弾の道民への「緊急メッセージ」も発表。内容は第1弾と同じで▽札幌市民は家にいる▽道民は札幌に行かない▽都道府県の行き来はしない―の3点。今週末(9、10日)は前回と同様、「都市封鎖(ロックダウン)相当の行動自粛をお願いしたい」と要請した。