文化継承 観光のまちづくり 20年度 アイヌ政策推進交付金で13事業 白老

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  • 2020年4月15日

 白老町は2020年度、国のアイヌ政策推進交付金を生かした13事業を展開する。交付が決まった総額1億6200万円は、民族共生象徴空間(ウポポイ)開業に伴う関連事業や伝統文化の担い手育成などの費用に充て、アイヌ文化の継承や振興、観光のまちづくりを推進する。

 交付金制度は昨年5月施行のアイヌ施策推進法で創設。町は19年度、1次、2次の申請で計7500万円交付され、アイヌ文化伝承の人材育成やウポポイPRイベントなどを実施した。20年度はアイヌ文化や観光振興関連の13事業に交付金を活用。これに町の負担分と合わせて総額2億1200万円の予算で、継続を含めた事業を計画した。

 主な事業は、5月29日開業予定のウポポイ関連として、年間来場者100万人達成に向けたPR活動、ウポポイ営業に合わせたJR白老駅の臨時改札口運営、駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)でのロングランイベント開催、町民のウポポイ入場の無料化(1回分)や年間パスポート交付、急病の観光客を受け入れる町立国保病院の医療体制整備など。

 アイヌ文化振興関連では、白老アイヌ協会への委託による伝統文化担い手育成や商品開発・販路拡大をはじめ、伝統料理の学校給食提供、イオル(アイヌ民族の伝統的生活空間)再生事業などを計画。観光振興関連では、外国人観光客用の多言語観光パンフレット作成、地域内循環観光バス(交流促進バス)運行といった事業に取り組む。

 また、アイヌ文様を車体にデザインしたデマンドバス(予約制バス)の運行や、19年度に引き続き小中学校への学習指導員配置による学力向上事業も進める。

 町アイヌ総合政策課は「事業の展開でアイヌ民族の歴史や文化を次世代につなぐほか、文化を生かした魅力ある地域づくりに取り組みたい」としている。

 交付金は、市町村がアイヌ施策推進の地域計画を作成し、国の認定を受けた計画の事業に対し支給される。交付対象の事業については、国が費用の80%、市町村が20%を負担。市町村の負担分に対し地方財政措置があるため、実質負担割合は10%となる。国は20年度のアイヌ政策交付金で前年度の2倍の20億円を予算計上し、地域のアイヌ文化振興を後押しする。

交付金を活用した白老町の20年度事業

(1)アイヌ文様デザインのデマンドバス運行

(2)アイヌ民族の伝統文化などイオル再生

(3)伝統文化の担い手育成と商品開発

(4)ウポポイ入場100万人へのPR活動

(5)町民のウポポイ入場1回分の無料化

(6)町立国保病院の医療体制整備

(7)JR白老駅の臨時改札口運営

(8)地域内循環観光バスの運行

(9)ポロトミンタラでのロングランイベント

(10)多言語版観光パンフレットの作成

(11)小中学校への学習指導員配置

(12)町内2高校の生徒・教師のウポポイ見学

(13)アイヌ伝統料理の学校給食提供

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