世界遺産登録は来年ヤマ場 研究者がキウス周堤墓群で講演 千歳

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  • 2020年2月17日

 世界遺産登録を目指す北海道・北東北の縄文群を構成するキウス周堤墓群(千歳市)の魅力を学ぶ講演会が15日、千歳市内の北ガス文化ホールで開かれた。札幌国際大学世界遺産研究室長の越田賢一郎教授が「縄文遺跡群の世界遺産登録とキウス」と題して講演。受講した市民ら100人が縄文文化の価値を今に伝える貴重な文化遺産への理解を深めた。

 市民団体・キウス周堤墓群を守り活(い)かす会(キウスの会)、千歳市埋蔵文化財センターの主催。

 北海道・北東北の縄文群は北海道と青森、秋田、岩手の17遺跡2関連資産で構成。キウス周堤墓群は最北の国指定史跡。

 越田教授は、世界遺産登録に向けたタイムスケジュールを「今年、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が考査のため現地入りする。世界遺産委員会に報告される来年5~7月がヤマ場」との考えを示した。

 津軽海峡を挟んだ北海道・北東北の縄文群について、「暖流と寒流が流れる日本海と太平洋の豊かな海と落葉広葉樹林の森に囲まれ、雪と冬の寒さの厳しい自然環境で生きた人々が残した遺産」とし、「農耕を持たず自然資源に依存する狩猟、採集の定住生活が1万年続いた世界でも珍しい大規模な集落。平和で緩やかな結び付きの地域社会を形成した」と解説。「火山噴火後も戻って暮らし続け、今の千歳につながっている。地域の歴史をたどる上で大きな意味を持つ」と考察。

 キウス周堤墓群について、「苫小牧市静川遺跡の環濠(かんごう)や千歳市丸子山遺跡の環濠と同規模」と指摘。出土した91個のヒスイに、「集落の人々はヒスイの首飾りを分け持った。一人が全てを所有する社会ではなく、みんなが分かち合う社会だった」と説明。「個人がたくさん所有するのは次の段階」と恵庭のカリンバ遺跡との違いを説いた。

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