恵庭市在住の児童書作家、高杉六花(たかすぎ・りっか)さん(39)が著した「君のとなりで。」第2巻が今月、KADOKAWAの児童書レーベル、角川つばさ文庫から出版された。昨年9月に発行して人気を得たデビュー作の続編で、吹奏楽部を舞台に成長する女子中学生の姿を描いた。
中学受験に失敗した主人公の吉川さくらが、憧れの吹奏楽部男子部員、伊吹先輩に片思いをしながら、部活動を通して成長する過程を追うあらすじ。高杉さんも吹奏楽部の経験があり、悩みを持つ子供に「大丈夫だよ」とメッセージを込めた作品。
同社主催の第7回角川つばさ文庫小説賞で金賞を受賞し、作家デビュー。第1巻の売れ行きが好調で、現時点で第3巻の発売も決定している。
第2巻では、新たな人物も登場。周囲の人々との関わりが増え、さらに成長を遂げる主人公の姿と恋心を爽やかなタッチで描いている。「魅力的な人と自分を比べたり、何かに躊躇したりする、誰もが経験していることを織り込んだ」と高杉さん。
関東大会出場を懸けた部内オーディションを描く一節で、主人公が先輩を立てて身を引く場面がある。「周りとトラブルがあったとき、一歩引いてしまうことがある。でも、相手の意見を尊重するように、時には自分の意見を大切にすることが必要な場面もある」と込めた思いを語った。
第1巻に続き、主要な登場人物として、主人公の恋敵でもある男子生徒が登場。LGBT(性的少数者)の表現について「子供たちに最初に入る知識は、偏りのないものであってほしい」と言い、同性愛を特別視しないフラットな表現に務めた。
高杉さんは作家活動と2児の子育て、北海道文教大学の大学院生としての児童発達研究を同時進行させている。昨年11月には市内緑町の複合施設・えにあすで講演会を開き、小学校でも講演するなど地域に根差した児童書作家として精力的に活動中。「まち全体で応援してもらえて感謝している」と話す。
第2巻は定価660円(税抜き)。市内では岡本書店で販売されているほか、全国の書店やオンラインストアでも購入できる。