監視

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  • 2020年1月13日

  陸上自衛隊と米軍による日米共同訓練「ノーザンヴァイパー」が22日から2月8日まで道内で展開される。陸幕の広報資料によると過去最大規模で、注目は米海兵隊の輸送機MV22オスプレイの参加。沖縄の負担軽減を目的にした訓練移転は国内外で10回目、道内は2回目だが、道内では不思議とニュース価値が高まる傾向にある。

   初回の2017年8月は、オーストラリア沖で墜落事故を起こした直後だった。ヘリコプターのようなホバリング状態の活動、航空機並みの輸送力などが同機の売りだが、可変飛行も相まってか各地で重大事故が続発。安全性への疑問が高まる中、沖縄県外で初の夜間訓練も行った。

   当方は17年の訓練初日、恵庭市の北海道大演習場で取材した。拠点にした青森県の米軍三沢基地が天候不順で、当初の予定時刻を過ぎても待ちぼうけ。三沢を離陸したか否かの情報も交錯する中、陸自広報官が「姿が見えました」とはるか上空を指差し、初めてオスプレイの飛来に気付いた。

   報道ヘリがオスプレイの騒音をかき消す勢いで飛び交ったのは一部関係者の間で笑い話。ただ、情報開示の不十分さは深刻で、知らされたのは飛行の有無や離着陸時間、訓練項目のみ。肝心な飛行ルートは示されず、実際に市街地の上空も飛んだ。今回は道内初の寒冷地訓練。安全対策をしっかり求めつつ、冷静に監視したい。(金)

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