皆さんは自分が住んでいるまちの防災ハンドブックの内容を熟知しているだろうか。当方は取材で見る機会が多く、被害予測や安全対策は頭に入れているが、わがこととしての把握はほぼ置き去り。言い訳をすれば有事の際は報道する立場で、異なる意味で準備しているためだが、災害に備えて避難所の確認などは欠かせない。
改めて苫小牧市のハンドブックを読み返すと、幅広い災害の可能性に驚かされる。地震や洪水、土砂災害をはじめ、樽前山の噴火や津波の浸水と脅威が目白押し。直近まで「災害に強いまち」を掲げる千歳、恵庭両市を取材していた影響もあり、苫小牧の有事を想像するだけで不安に駆られる。
以前、陸上自衛隊の将官に取材した時のエピソード。退官にあたって後進に贈る言葉を聞くと「物事を正しく恐れて」を選んだ。任務への対処が本旨だが、過酷な福島第1原発事故の支援を聞いた直後で、印象に残った。厳しい局面が眼前に現れた際、侮ることなく、想定外を想定し、ノウハウを総動員する姿勢は、防災にも通じる。
手前みそで恐縮だが先月、苫小牧の防災メールを紙面で紹介したところ、翌日までに121件の新規登録があった。正しい情報を得る動機付けになったのであれば幸いだが、日頃から意識を持ち続ける、訴え続ける必要性も再確認した。自助なくして防災や減災は成り立たないのだから。(金)