陸上自衛隊の北千歳駐屯地で、新年の干支(えと)、子(ね)をあしらった羽子板作りが進められている。作業には駐屯地木工クラブのメンバー8人が勤務終了後、ボランティアで取り組む。今年もデザインに工夫を凝らしており、隊員たちは「皆さんに喜んでもらいたい」との思いを込めて作業に励む。
羽子板作りは、1985年から続く同駐屯地の伝統。例年、完成品を12月に開催する年末行事で出席者に土産として贈っている。今年も380本を作る予定だ。
今年は初夏から準備。手順は材料の木製の板を切り、長さ約45センチの羽子板に成形してやすりで研磨。下地を白く塗り、画用紙で模様の形の穴を開けた10枚の型を順番に板に載せ、上からカラースプレーで色を重ねることで、亀や鶴などを描いていく。
その上に、立体感を生むようベニヤ板を切って組み合わせたネズミと米俵の飾りと「寿」の字を付けるのが今年のデザインだ。
駐屯地内の作業場では、板の取っ手部分を黒く塗る作業が進む。作業に取り組む上田徹弥1士(26)は「落ち着いて塗らないと塗料がはねることもあります。ちゃんと仕上がるよう気を付けて色を塗っています」。はけを手にする隊員たちの表情は、どれも真剣そのものだ。
新春に花を添える羽子板。高級感が出るよう工夫したデザインは木工クラブ会長の梅内厚志2曹(46)が手掛けた。「喜んでもらうのが一番。『わあ、すごい』と思ってもらえたら作ったかいがあります」と話している。