白老 ポロトの森どうぶつ病院 服巻院長 統合医療で治癒効果向上  ペットの鍼灸師資格取得

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  • 2019年10月5日
動物の鍼灸師資格を取得した服巻さん
動物の鍼灸師資格を取得した服巻さん
病を患い、はりの施術を受ける犬
病を患い、はりの施術を受ける犬

  白老町の「ポロトの森どうぶつ病院」の院長を務める服巻滋之さん(58)がペットの鍼灸(しんきゅう)師資格を取得し、鍼灸術を生かした治療に取り組んでいる。犬や猫の病気が多様化する中で、従来の西洋医学に加え、東洋医学も取り入れた統合医療で治療効果を高めるという。北海道獣医師会(札幌)によると、鍼灸治療を導入する動物病院は全道的にも珍しい。

   中国発祥の鍼灸術の動物への応用は、古くから馬の治療に取り入れられてきたが、犬や猫のペットについてはまだ歴史が浅い。一方、犬や猫の長寿命化に伴って糖尿病、がん、アトピー性皮膚炎など人間同様の疾患が増え、治療効果を上げるため、鍼灸や漢方など東洋医学に注目する獣医師が増えつつある。

   服巻さんは、専門分野でもある軽種馬の疾患治療に鍼灸術を長年採用し、その効き目を実感してきた。このため、自身が営む動物病院でも本格的に導入することにし、中国に本校を持つ国際中獣医学院日本校(東京)の中獣医鍼灸師養成講座を昨年9月から受講。毎月1回のペースで白老から東京の同校へ通い、ペットへの鍼灸治療の理論や技術などを学び、今年9月の資格認定試験に合格した。

   服巻さんは、動物医療の経験を積む中で「なかなか効果が出ないという西洋医学の限界もあり、治療の選択肢として東洋医学を身に付けて実践したい」と考え、中獣医鍼灸師資格の取得を目指した。馬の治療で鍼灸技術を獲得していたものの、今後、ペットへの応用に力を入れていき、西洋と東洋の統合医療に取り組んでいくという。

   はり、きゅうの器具は人間と同じ物を使用し、それぞれの疾患に効くつぼに施術する。さまざまな慢性疾患への有効性が期待され、「椎間板ヘルニアなど神経の痛みを伴う病気への効果も高い」と話す。西洋医学では治療困難な病気を患う犬がはりの施術で改善したケースもあるという。

   服巻さんは東洋医学をさらに追求していきたいとし「治療の選択の幅を広げ、ペットの飼い主が望む医療に対応していきたい」と意気込む。

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